荻窪Doctor’s コラム不整脈

2019.10.07(2020.07.14更新)

体の不思議

|臨床|心房細動|不整脈|脳梗塞|急性心筋梗塞|心電図|心エコー|

体の不思議

医師になって25年以上、臨床で患者さんを診続けているが、診療を続ければ続けるほど、医療は本当に難しく、人間の体は本当にわからないものだと思う。

例えば、心房細動の不整脈発作。

誰もが、“動悸症状があります”という症状で受診してくるわけではない。全く無症状で、健診の心電図で不整脈が捕まって、症状ないのにと受診されたり、期外収縮で脈が少し飛ぶ症状があるだけでも、救急車で来院する人もいる。心不全症状で苦しくなり、来院し、原因が心房細動であったり、脳梗塞で入院したら不整脈が見つかったりと、本当に同じ病気といえども人それぞれ、様々である。

これが不整脈だからということでもなく、急性心筋梗塞にしても、ほとんどの人は胸痛症状が出現し、救急車で搬送されるのだが、やはり中には症状が全くなくて、心電図検査でたまたま異常を指摘されてきたり、心筋梗塞後の心不全の症状だけで受診したり、こちらも様々である。狭心症にしてもしかり、まったく症状もない場合も多いし、胸痛発作ではなく、肩が痛むとか、腕が痛むとか、顎が痛むとか、様々である。心電図所見も、血管が詰まっているのに、まったく心電図が正常であったり、逆に、血管は詰まってないのに心電図が異常であったりと、本当に不思議で様々である。

心不全にしても、心エコー検査で見ると心機能がすごく悪いのに、それほど多くない薬で普通に生活している人もいれば、心機能がそんなに悪くないのに、すぐに息切れ、むくみなどが出る人もいる。

これが現実であるし、医者はそういう中で、患者さんの診察、様々な検査データを総合的に判断し、その人その人に合った治療を決めていかなければならないのである。なので、やはり医者は経験がものをいうようになってしまうのであろう。

それぞれの症状や臨床所見がこんなにも違うのだから、同じ病気であっても、人によって治療が違ってくることもわかっていただけるであろうか。

人の体はかくも不思議なものであるので、研究課題には尽きないと思うし、医者の仕事をAIにとって代わるのは、かなり難しいのではないかと思うのである。

循環器内科(非常勤)遠田賢治

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